WEB ARCHIVE — このページは Wayback Archive により保存された 1997年9月 時点のキャッシュです。

ゆめスタジオプロダクション

YUME STUDIO PRODUCTION Co., Ltd.
【人事部保管】PERSONNEL FILE

退職届

提出者:脚本部 田中恵子
提出日:1995年3月14日
受理日:1995年3月15日
文書管理番号: YSP-████-0█

1995年3月14日

株式会社ゆめスタジオプロダクション
代表取締役 ████ 殿


退 職 届


一身上の都合により、1995年3月31日をもちまして退職いたしたく、ここにお届けいたします。


脚本部 田中恵子 ㊞


添付:田中恵子 私信メモ(退職届と同封)

※ 以下のメモは退職届の封筒内に同封されていた。宛名はなく、便箋1枚に手書き。人事部が退職届と共にファイリングしたもの。

私はもうここにはいられません。

この番組は、最初は本当に素晴らしいものでした。子どもたちの笑い声がスタジオに響いて、キツネ団長たちが動くたびに子どもたちの目が輝いて。私が書いた台本で子どもたちが笑ってくれる。それだけで十分でした。

でも、おかしくなったのは一昨年の秋からです。

台本を書いても使われない回が出てきました。「今回は台本なしで」と言われました。じゃあ何を放送するんですか。子どもたちは何をするんですか。聞いても誰も答えてくれませんでした。

夜中にスタジオの明かりがついているのを見ました。Bスタジオのほうです。私たちは「倉庫」だと聞かされていましたが、倉庫に夜中に人が出入りするでしょうか。

先月、うっかり早く出勤してしまった朝、社長が地下から上がってくるのを見ました。白衣を着ていました。テレビ番組の制作に白衣は必要ですか。

あの人の目が——あの日から、私にはもう、あの人の目を見ることができなくなりました。

吉田さんは気づいているんでしょうか。あの人のお嬢さんのことが心配です。

何もできなかった自分が情けないです。でも、これ以上ここにいたら、私まで壊れてしまう。

田中恵子


人事部処理日:1995年3月15日 最終出勤日:1995年3月28日
退職理由(公式):一身上の都合

人事部保管 PERSONNEL