File_05 — 被験者リスト

yoshida_investigation / author: yoshida_ichiro / classification: unrestricted

保管室のサーバーに貼られていたラベル。G-0からG-6。7つ。手書きのラベルだった。丁寧な字で、一枚一枚。まるで標本みたいに。

全員の正確な情報があるわけではない。でも、分かっている限りのことを書く。この子たちが「番号」で呼ばれたまま終わるのは、俺が許せない。

G-0 — 吉田あかね
1987年生まれ。俺の娘。1995年9月3日、意識転移。8歳。受容体:キツネ団長。最初の「成功例」。詳しくは次のファイルに書く。ここでは名前だけ。

G-1 — 氏名不詳(女児)
1988年生まれ。「みんなであそぼう!」コーナーの収録参加者から選定された。1995年後半に転移処理。受容体:かあ博士。内部資料に「知的好奇心スコアが突出して高い」と記されていた。あいつにとっては、それが選ばれた理由だったのだろう。親は何度もスタジオに電話をかけていたそうだ。「娘がスタジオに行くと言ったきり帰ってこない」と。

G-2 — 氏名不詳(男児)
1989年生まれ。同様に収録参加者。1996年初頭に転移処理。受容体:ぽたまる。G-1の転移成功を受けて、プロセスが短縮された。資料には「感情表出が豊か。共感性が高い」と書かれていた。7歳の子どもを評価する言葉じゃない。品定めする言葉だ。

G-3 — 氏名不詳(男児)
1987年生まれ。1996年に転移処理。受容体:うっきち。処理後にアニマトロニクスの動作が不安定になったとの記録がある。「抵抗反応あり。要観察」と赤字で追記されていた。この子は暴れたんだ。機械の中で。誰にも聞こえない声で。

G-4 — 氏名不詳
転移処理の記録あり。だが受容体が割り当てられていない。ログには「定着失敗。データ保管に移行」と一行だけ残っている。体にも戻れず、キャラクターにもなれず、サーバーの中に閉じ込められた。

G-5 — 氏名不詳
G-4と同様。転移は実行されたが定着せず。データのみ保管。日付の記録すら残っていない。

G-6 — 氏名不詳
ラベルは貼られていたが、データ容量がゼロだった。転移処理の途中で中断されたのか、あるいは最初から空の「予約枠」だったのか。どちらにしても、この番号のために選ばれた子どもが、どこかにいたということだ。

7人。少なくとも4人が成功し、2人が失敗し、1人は不明。成功した子どもたちはキャラクターの中に閉じ込められた。失敗した子どもたちはサーバーの中に閉じ込められた。どちらが幸運だったのかは、分からない。

家族は全員「行方不明」として捜索願を出した。いずれも本格的な捜査には至っていない。

俺の娘だけは…俺が自分の意思で連れて行った。「検査だよ」と笑って手を引いた。それが何より許せない。