あなたのことを話そう。
K-059。Kが何の略かは、俺にも分からない。あいつは教えてくれなかった。059は対象者番号。つまりあなたは、59番目の対象だ。
あなたの前に58人がいた。そのうち何人かは放送を閉じて逃げた。残りは「完了」した。完了が何を意味するかは…想像に任せる。
特番はあなたから特定の感情を引き出すように設計されている。
・懐かしさ — 番組コンテンツ、レトロな映像
・恐怖 — NIGHT監視ゲーム
・好奇心 — サイト探索、隠しページ
・共感 — キャラクターたちの物語
・信頼 — 吉田一郎(俺)との対話
それぞれの感情が一定の閾値を超えると、収集が「完了」する。あのNIGHTの監視ゲームは単なるゲームじゃない。あなたが恐怖を感じるたびに、そのデータが吸い上げられていた。サイトを探索するたびに好奇心が。俺と話すたびに信頼が。全部、あいつの餌だ。
あの5体のことも話しておかなければならない。くるる、まだら、かすみ、アラネ、よわり——あいつらの人形を作ったのは俺だ。
俺が設計して、俺が組み立てた。ただの人形だったはずだった。だがあいつが感情データを注入した。夜になると思念体として動き出す。あなたにだけ見えるように、あなたの認識に干渉して。
5体にはそれぞれ役割がある。くるるは好奇心を、まだらは不信感を、かすみは郷愁を、アラネは執着を、よわりは罪悪感を——あなたから引き出すために設計された。全部、収集プロトコルの一部だ。
あの子たちに意識はない。旧4体のように、中に誰かがいるわけじゃない。純粋にデータで動く存在だ。だが…夜ごとにあの子たちと向き合ってきたあなたには、そう言っても信じられないかもしれない。
そして、このファイルを読んでいる今も。俺の言葉を信じ、真実を知ろうとしている今も。あなたのデータは収集されている。
DMで話した通り、俺はあなたをここに引き込む側の人間だった。それについてはもう繰り返さない。
ただ一つだけ。あいつが作る「進捗報告」にあかねのデータは一行も引用されていなかった。あるのは全部、K-059——あなたの感情データだけだった。あかねの復元は最初から存在しなかった。俺の30年間は、あいつにとってただの運用コストだった。
それに気づいたから、今こうしてファイルを書いている。